不動産、投資、相続、ライフスタイル別に必要なこととは?

子育て時期に差し掛かる30代夫婦のケース
教育資金を確保しながら持ち家を購入したい

~教育資金づくりは、住宅ローン返済とは別の口座で~

 

幼い子どもを持つ家族にとって、「住まい」は大きなテーマです。

 

賃貸住宅に住む30代夫婦が住宅の購入を検討していると想定します。

 

今後10年以上にわたり教育資金が必要になる家計状況で、どのような点に注意すべきでしょうか。

 

金利水準が低いいま、住宅購入にあたっては諸経費分を含めたフルローンを金融機関から提示されることが多いです。

 

だからこそ、安易に考えず、手堅い生活資金設計が大切になります。

 

就労形態が多様化する中で、収入のブレが想定される夫婦も多いため、住宅取得資金に占めるローン比率が高い方ほど、変動金利ではなくフラット35などの固定金利が有利な場合があります。

 

子どもの大学進学について、自宅から通うのか遠隔地なのかといったプランによっても予算は変わりますし、共働きであるかどうかも影響します。

 

何にどれだけお金をかけたいのか、人生で優先したいもので持ち家の選択肢も変わります。

 

教育資金は、住宅ローンの返済とは別の口座で貯めていくことが前提です。

 

特に大学進学のための資金は、決まった時期に決まった目的に使うお金であるため、過度なリスクを取る運用は避けるべきです。

 

ただ、学資保険や子ども保険では収益が期待できない現状で、10年以上の運用期間があれば、運用資金のうち月々1万〜2万円程度はつみたてNISAを通じて、投資信託で積み立ててもよいと思います。

 

教育資金確保を優先し、無理のない住宅購入を検討
 

2017年の首都圏での新築マンションの1戸当たりの平均価格は5,908万円と、バブル期以来の高値水準であり、平均的な世帯年収にとって手が届く物件は少なくなっています。

 

まずは教育と住宅、どちらを優先したいのかを念頭に起きましょう。

 

教育を優先したいのなら、教育資金の確保を優先的に行い、そのうえで無理のない住宅購入を検討するのがいいでしょう。

 

そこで、家計が圧迫されるようなら、中古マンションや一戸建ても候補に挙がります。

 

最近は、中古マンションの内装を撤去しコンクリートの壁と天井のみのスケルトン状態にしてから、自分好みの仕様にリノベーションするケースも増えつつあります。

 

家族の好みや価値観を反映できるのはリノベーションのメリットですが、汎用的な間取りや仕様と異なれば中古住宅市場ではあまり評価されず、コストをかけた割には住宅の資産価値に反映されない点にはあらかじめ理解が必要です。


 

もし、こだわりのあるリフォームやリノベーションをするのなら、自分たち家族が長い間、住み続けることを前提にすべきでしょう。

 

中古住宅の中でも、1981年5月31日以前の旧耐震基準が適用された建物は、将来の耐震性に不安がのこります。

 

自然災害への備えも加味したかたちで、適正な住宅や価格なのかを評価するようにしなければなりません。

 

ポイントまとめ
●収入のブレが想定される場合は、固定金利タイプが安心

●教育資金は、住宅ローン返済とは別口座で管理を

●個性的なリノベーションは、長く住むことを前提に

●中古物件を選ぶ際は、耐震基準のチェック

 

 



 

金融資産が豊富な40代男性のケース
余裕資金で不動産投資を検討したい

分散投資は理想ですが長期にわたるローン負担の想定を~

 

有価証券以外の運用先として、不動産も実物資産として選択肢になります。

 

個人向けの投資用不動産としては、ワンルームマンションやアパートが主な対象でしたが、エリアや内容によっては価格の幅は広いです。

 

ここでは、年収1,000万円ほどの40代の男性会社員が、初めて実物不動産投資に取り組むケースを想定します。

 

実物不動産であっても分散投資が基本だと考えるべきです。

 

同じコンパクトマンションであっても、一戸だけは空室リスクがあります。

 

エリアや間取りなどが異なる複数の物件を所有すれば、それだけ空室リスクを下げられます。

 

例えば、2,000万円の自己資金があったとしても、自己資金だけで一戸2,000万円の物件を購入するのではなく、頭金500万円、ローン1,500万円の組み合わせで、一戸2,000万円の物件を四戸所有するといったプランです。

 

もちろん今後の収入見通しなどから、いくらのローンであれば、無理なく返済できのかを策定することがスタート地点になります。

 

家賃収入による実質利回りも、ローンの返済に応じて、低い期間が続きます。

 

物件価格2,300万円の新築ワンルームマンションを2,000万円のローンを組んで購入したとします。

 

金利2%の30年ローンなら月々の返済はおよそ7.4万円です。

 

管理費、修繕積立金、固定資産税等のランニングコストも考慮する必要があり、当初の家賃が8万円だとすれば収支はマイナスになってしまいます。

 

減価償却費やローンに対する所得税の節税効果をメリットと捉える人にとって、これでも良いかも知れません。

 

ですが、キャッシュフローがマイナスになることは避けましょう。

 

加えて、段階的に家賃が下がることを想定すると投下資本の回収には20〜30年の期間を要し、それ以前の売却ではトータルリターンはマイナスになる可能性があります。

 

10年で売却を考えるなら、この投資はノーです。

 

20〜30年後にローンを完済して以降、手取りベースで月額4万円程度の家賃収入を得ながら、資産として物件を保有したいというニーズがあれば合致します。

 
不動産を見る目があるプロと組んで一緒に提案
 

中古物件をキャッシュで複数買うという選択もあります。

 

例えば、2,000万円の自己資金で2物件購入するといったプランで、15年程度で投下資本を回収できる見込みの物件を探すことです。

 

だだし、築年数がかなり経過している中古物件は多面的によく調査して評価する必要があります。

 

街のブランド力や交通利便性など、立地の良さ、他エリアと比べた人口動態や賃貸物件の多寡は新築同様に重要な要素です。

 

さらに中古物件は、同様の築年での賃料の相場や管理状態などから今後の家賃の見込みを精査するべきです。

 
 

ポイントまとめ
●実物不動産投資も基本は分散

●ローンを組むなら投下資本の回収には新築で20〜30年程度の期間を想定

●実質利回りを基にプラン策定、出口戦略を提案

●信頼できる不動産のプロとの協働も有効

 



 
すでに子どもが独立した50代夫婦のケース
相続した不動産を有効活用したい

~有効活用が難しければ、早めの売却も検討~

 

自宅を持ちながらも、相続によって別途、住宅用不動産を所有することになった50代の夫婦を想定します。

 

子どもは独立して生計を別にしており、すぐには近親者が利用する予定はありません。

 

固定資産税の負担もあるため、何らかの有効活用を検討したいといった状態です。

 

中古住宅が市場に多く存在しているいま、特に郊外であれば収益を期待できる物件は少数です。

 

そのうえで、収益面での有効活用が難しいと判断するのであれば、早めに売却したほうがよいでしょう。

 

全国の住宅の約7戸に1戸は空き家という問題を政府も深刻に受け止め、売却した際の譲渡所得から3,000万円を差し引ける特別控除や、解体やリフォームを促す施策を打ち出しています。

 

なお、特別控除が適用されるには、相続のときから譲渡のときまで事業や貸付、居住の用に供されていないことが等が条件になります。


 

住まいは1年空き家になるだけで、劣化が進むうえ、エリアによっては値下がりし続ける可能性があるため、判断を先送りすることも1つのリスクとなります。

 

シェアハウスや民泊での活用も慎重に
 

アパートへの建て替えなど、本気で有効に活用したいのであれば、それなりに戦略を立てた運用が前提になります。

 

世間ではシェアハウスが話題ですが、数年前と比べれば対象物件は増え、設備や内装、エクステリアなど他と違う魅力を強く打ち出さないと入居者そのものが集まりません。

 

新法で注目される民泊も近隣の理解を得ることが大前提で自宅もしくは隣接した場所での運営でないと、トラブルを引き起こしがちです。

 

民泊大手の米Airbnbも、ホストとゲストが対面するおもてなしをシステムに組み込んでいます。

 

法的には家主不在型の民泊は認められているが、資産運用となるコンセプトから乖離してしまうため、慎重さが必要です。

 

資産運用ではなく、自分たちのセカンドハウスや老後の住まいとして有効活用するという考え方もできます。

 

その際、夫婦でのメンテナンスが現状では難しいのであれば、親族以外の友人や知人に広く声をかけ、一定期間、固定資産税分程度の負担で貸し出すことも、意外と現実的なのではないでしょうか。

 

ポイントまとめ
●収益が期待できるような相続物件は少数

●売却の判断を先送りするのも1つのリスク

●民泊での活用は近隣の理解を得ることが前提

●自分たちのセカンドハウスや老後の住まいとしての活用も

 



 

定年退職を迎える60代夫婦のケース
買い替えで新たな暮らしを始めたい

~2020年問題を意識するまでもなく、売れるときに早く売る~

 

子どもは独立したため、現状の持ち家はやや広く、加えて経年劣化からリフォームを加えるべき時期に来ている60代の夫婦を想定します。

 

定年退職を機に、持ち家を売却し、今後の暮らしぶりに合った新たな住まいを購入したいといった希望に対しどのような取り組みが必要が紹介していきます。


 

2階建てで階段の上り下りが辛い、庭の手入れが大変といった悩みから住み替えを検討する相談は、一戸建て住宅の所有者を中心によくあります。

 

この場合、利便性の高いマンションに住み替えるか、バリアフリーの平屋に建て替えるのが具体的な解決策だと思います。

 

住み替える場合、前提となるのは、いまの持ち家が実際に売れるかどうかです。

 

特にバブル期に建てられた郊外の新興住宅では、買い手が付かず売るに売れないケースも増えています。

 

こうした物件は、2020年問題を意識するまでもなく、売れるときに早く売るのがよいと思います。

 

築数十年の一戸建ては更地にしないと売却できないのが一般的です。

 

その取り壊し費用や境界確定の測量には数百万円かかることも多く、買収業者がまとめて面倒を見てくれるのであれば、5年、10年経って売れなくなる前に、早く相談を持ち掛けるのも有効です。

 

ライフデザインと照らし合わせて慎重な判断を
 

仮に納得できる価格で売却できるとしたら、次の住まいの具体的な候補を検討することになります。

 

また、今後のライフデザインについて、ご夫婦で再確認することが大切です。

 

長い老後を意識すると、住宅取得で過剰なコストをかけることは避けたいものです。

 

住むエリアを変えたい場合は、ご夫婦の合意がなければ後々、配偶者から不安や不満が生じがちです。

 

もし、買い替えるほどのコストがかけられないのであれば、地域によっては賃貸住宅も十分な候補になります。

 

もし、希望するような売却が難しければ、現状の住まいをリフォーム、もしくは建て替えることを考えましょう。

 

一戸建てであれば、平屋の省エネ住宅がランニングコストの面でもおすすめだと思います。

 

収入が限られる60代の方の住宅プランは、30代より数倍、慎重に検討する必要あります。

 

ポイントまとめ
●大前提は、持ち家がそもそも売れるかどうか

●売ると決めたら先送りせずにすぐに売却を

●築数十年の一戸建ては、更地にするコストなども考慮

●建て替えなら、平屋の省エネ住宅も選択肢の1つ

 

 

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認知症患者の資産、200兆円に

高齢化の進展で認知症患者が

 

保有する金融資産が増え続けています。

 

2030年度には今の1.5倍の215兆円に達し、

家計金融資産全体の1割を突破する予想です。

 

認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなります。

 

GDPの4割に相当するマネーが凍結状態になれば、日本経済の重荷になりかねません。

お金の凍結を防ぐ知恵を官民で結集する必要があります。

 

東京都内の信用金庫で50代の男性会社員は困惑しました。80代の父親は認知症と診断され、老人ホームに入居しています。

 

男性は父の入院治療費を支払うため、

父名義の口座から約60万円を引き出そうと

相談に訪れていました。

 

「ご本人の意思確認ができない状況では支払いに応じられません」。信金の担当者はこう伝えました。

 

金融機関の立場では家族による横領を防ぐための当然の対応ですが、本人のためでもお金が使えず、預金が凍結状態になるケースが目立ってきています。

 

政府の高齢社会白書によると65歳以上の認知症患者数は15年に推計で約520万人。3年間で約50万人増えました。

 

高齢化が進む30年には最大830万人に増え、総人口の7%を占めると予測されます。

 

進まぬ後見人利用
 

金融資産の「高齢化」はすでに進み、14年時点で全体の65%ほどを60歳以上の人が保有しています。

 

今後は認知症高齢者の保有が大きく拡大する局面に入ります。

 

第一生命経済研究所認知症有症率のデータなどを用いて保有額を試算したところ、17年度の143兆円が30年度には215兆円まで膨らむとの結果が出ました。

 

日本の家計金融資産は30年度時点で2070兆円と推計されます。

 

認知症高齢者の保有割合は17年度の7.8%から10.4%に高まり、政府や金融機関はこうした資産が使われなくなることに危機感を強めています。

 

高齢者の消費が減るだけではありません。

 

株式などの運用が凍結されれば、ただでさえ欧米より少ない日本のリスクマネーは目減りし、成長のための投資原資がますます少なくなりかねません。

 

不動産取引の停滞も予想されます。投資で得た収益が消費に回るといった循環がたちきられ、GDPの下押し圧力になる可能性があります。

 

対策の一つは成年後見制度の普及です。

 

認知症などで判断能力が不十分で意思決定が困難な人の財産を守る仕組で、後見人は、お金を本人の口座から出すことができます。

 

ただ現時点の制度利用は約21万人と認知症高齢者の5%にも及びません。

 
 

核家族化が進んで後見人になる親族が近くにいない。弁護士や司法書士など専門職を後見人にすると、最低で月2万~3万円の報酬を払い続けなければならないので、収入や資産が少ない高齢者には負担が大きいなどの理由です。

 

親族や専門家以外の人が無報酬で担う市民後見人を増やす必要があるが、家庭裁判所への報告などに加え、借金返済や家賃滞納への対応など想定外の仕事もふりかかり、負担は軽くないのが現状です。

 

高齢者からは親族でも専門家でもない人は「信用できない」との声も多くあります。

 

このため全国銀行協会法務省金融庁などは協議し、後見人による不正を防ぎつつ、今よりも使い勝手が良い預貯金サービスの仕組みを打ち出しました。

 

金管理に工夫
 

高齢者の銀行口座を資産用と生活資金用に分け、資産用口座の解約や入出金は金融機関や家裁などが厳しくチェックします。

 

一方、後見人による生活口座からの引き出しは今よりも自由度を高め、インターネットバンキングも認めます。

 

金融機関でこうしたサービスの導入が広がれば、市民後見人の普及に寄与する可能性があります。

 

法人が後見人になる取り組みもある。城南信用金庫など5信金は「しんきん成年後見サポート」と呼ぶ一般社団法人をつくり、東京都品川区と連携し、身寄りがない認知症高齢者の後見人を引き受けています。

 

信金のOBやOGが高齢者の財産を管理します。

 

ただこうした工夫でも株式などの運用が滞る問題は解決できません。

 

後見人による有価証券運用は明確に禁止されているわけではありませんが、元本割れのリスクを伴うため、家庭裁判所は認めないからです。

 

そうなると株は売却されて資金は預貯金に回ることになります。

 

認知症になる前に本人と家族で資産活用についてあらかじめ定めを結ぶ「家族信託」という仕組みもあります。

 

しかし、本人も家族も認知症になることを前提に話し合うことには抵抗があり、利用率は低いです。

 

みずほ総合研究所認知症高齢者が持つ株式などの有価証券が、35年に全体の15%に達すると推計しています。

 

高田創調査本部長は「株式の生前贈与を促す税制の創設など、生きた形で若年層に金融資産をシフトさせる方策が必要となるだろう」と指摘します。

 

 

教育資金のため時の変化とは!?

今回は、小学校から大学まですべて国公立に進学しても1人1000万円超かかるといわれる子供の教育資金についてです。

 

かつては小学校が「ためどき」といわれていましたが、習い事や学童保育、塾などの教育関連費も膨らみがちです。

 

そんな折、2019年10月から幼児教育・保育が無償化されます。

 

小学校に就学する前の幼児期が教育資金をためる好機となりそうです。

 

塾費用は年100万円
 

ある親の中には、月額約6万円の民間の学童保育に通わせている人もいます。

 

1年生の間は月約6000円の公立の学童でしたが、地域には待機児童が多く、新1年生に枠を譲らざるを得ない事情がありました。

 

さらに「習い事にも熱が入って月謝が上がり、学校外の費用に月10万円近くかかっている」と言います。

 

「子供の学習費調査」によると、塾や習い事などに保護者が費やす金額は公立の幼稚園・保育園に通う5歳児時点で年11万8000円となっています。

 

これが公立小学校に入ると年19万9000円に膨らみます。

 

公立小の中学年以降は年20万円を超え、月約2万円を「放課後」に費やす計算になります。

 

私立中学を受験するなら進学塾の費用も必須です。

 

小学校も高学年になると、塾の費用は年100万円かかると想定したいとしたうえで、塾に通い始める時点で、教育資金をためられる時期は終わると考えたほうがいいと指摘します。

 

受験率の高い地域では入塾対象を小学校低学年に制限するところも多く、塾に通う児童の低年齢化が進んでいます。

 

その分、費用の総額は膨らみます。

 
 

重要なのは教育資金の総額と家計で負担できる額を知り、不足額を把握することだと思います。

 

中学受験をして高校、大学(文系)とも私立に進学した場合を試算しました。

 

進学塾費用の総額を300万円と想定すると、大学卒業までに1873万円かかる見込みです。

 

一方、家計で負担できるのが月3万円、学資保険などで就学前までに用意しているのが200万円だと想定すると、新たに1000万円超を準備する必要があります。

 

財形などを活用
 

教育資金の準備を始めるのは早ければ早いほど有利です。

 

児童手当を0歳からすべて積み立てれば中学卒業までに子供1人当たり総額約200万円に達します。

 

また、使う時期が決まっている教育費はなるべく元本保証の金融商品で用意するのが鉄則です。

 

財形貯蓄や学資保険など簡単に引き出せない金融商品で確実にためることを勧めます。

 

ただ、低金利下では預貯金などでは資金を増やしにくいこともあり、積み立てた資金で定期的に変動金利型の個人向け国債を買うなど将来の金利上昇をにらんだ運用も一案と思います。

 

教育資金の積み立ての一部はNISAやつみたてNISAを活用し、少しでも運用効率を高める必要があると思います。

 

就学前は教育資金をためられる好機ですが、意識して積み立てないと、貯蓄ができない家計になりかねません。

 

幼児のうちからしっかりと計画を立て、教育資金を準備しましょう。

 

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給与天引きの恩恵

来月から新社会人として、

働かれる方が多いと思います。

 

そこで今回は給与から

天引きされる所得税社会保険料

ついてその必要性を

解説していきたいと思います。

 

税金は「公共インフラの利用費」


所得税などの税金は、

図書館などの公共の施設や道路、

社会で共有しているインフラを

利用するための費用と考えるとよいでしょう。介護や医療などの社会保障費を補うためにも使われます。

 

給与明細にある「健康保険料」や「雇用保険料」などは社会保険料に分類されます。

 

社会保険料は自分に万一のことが起こった場合のセーフティーネットとして役立ちます。健康保険や傷病手当金などです。

 

受けられる恩恵の価値を考える
例えば、月収額面20万円だと、

所得税社会保険料などで

毎月計3万円以上が差し引かれることになります。

3万円は多いですが支払うことで受けられる恩恵もあるので、

 

その大切さを知ればより良い社会人生活が送れるかも知れません。

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まとめ払いでの節約術!

家計の見直しで真っ先に取り組みたいのが

固定費の削減です。

 

毎月決まった額を払う保険料や家賃などが該当します。これらの費目は毎月払いより年払いの方が節約できる場合があります。

 

ただし、やみくもにまとめ払いにすると家計運営に支障がある場合もあります。

 

返戻金は確認を
まとめ払いで割引になることが多いのが、生命保険や損害保険の保険料です。

 

保険会社は保険料を運用して保険金支払いに充てます。事前にまとめ払いした方が運用期間が長くなる分、割引率が高くなることがあります。

 

生命保険料は月払い、半年払い、年払いなどがあります。

 

例えば日本生命保険で30歳男性が30年の定期保険(死亡保障付き)に加入すると、保険料は月払いだと3560円だが、年払いは4万1880円。つまり2%得する計算です。

 

このほか、最初に保険料を一括払いする「一時払い」などがあり、月払いの合計に比べ5%前後安くなる場合があります。

 

ただ、一時払いだと中途解約したときの返戻金が減ることがあるので注意しましょう。

 

火災保険、地震保険は通常年払いですが5年、10年など期間が長いほど、合計の保険料負担は軽くなる場合が多いです。

 

損害保険ジャパン日本興亜では、東京都の戸建ての住民が火災保険3000万円、地震保険1500万円の条件で入ると、1年の保険料の合計が約5万2300円なのに対し、10年は約48万5400円。7%強、負担が軽くなります。

 

自営業者らが加入する国民年金の保険料も前納すれば負担が減ります。

 

6カ月、1年、2年の3パターンがあり、期間が長くなるほど割引率が高くなります。


 

また、同じ期間なら現金払いやクレジットカード払いよりも口座振替の方が保険料が安くなることもあります。

 

現金もしくはクレジットカードで2年分を前納すると月払いに比べて1万4420円割引、口座振り替えなら1万5650円割引になります。

 

前納を利用する場合は年金事務所に申し出ましょう。

 

生活サービスでもまとめ払いで得する例は意外とあります。

例えば、インターネット通販アマゾンの「プライム会員」です。配送料無料やショッピングの特典などがあります。

 

会費を年払い(3900円)にすると、月払いに比べて19%安くなります。女性の衣服をスタイリストが提案して貸し出すエアークローゼットでは10カ月分を一括して払うと1カ月払いの合計に比べ10%安くなります。

 

 

 

旅行積み立ても一括のほうがメリットがあります。1年後に10万円の目標を立てた場合、日本航空では月払い合計に比べ、年払いは1.3%安くて済みます。

 

期間と割引率留意

ただし、まとめ払いが必ずしも得だとは限りません。都市再生機構UR賃貸住宅は10年一括で家賃を納めると月払いの合計より現時点では0.1%安くなります。

 

10年で利回り0.1%超の運用ができるなら、一括払いより運用のほうが「お得」といえます。

 

ただし、割引率が高いからといって、まとめ払いによって貯蓄が底をつくような事態は避けましょう。

住宅ローンの団信で、がん診断ならローン半分!?

住宅ローンを契約する際、通常の団体信用生命保険(団信)に上乗せして、病気などに備える保障が多様化しています。

 

中でも最近、注目されているのが「がん50%保障」タイプです。

 

がんと診断されると残債が半減します。「保険料」に当たる負担が低いのが利点ですが、いくつか注意点もあります。

 

Contents [hide]

1 診断確定日が基準
2 医療保険の併用も
3 最大では24回分
4 上乗せ金利手数料の確認を
5 変動型や固定期間選択型は、金利上昇時の返済額のチェックを
診断確定日が基準
 

がん以外の病気も保障する他行のローンも検討したが、保障条件に「就業不能状態」が含まれていたため、「コストの高さに見合った保障が受けられるか疑問」と考えました。

 

住宅ローンに50%のがん保障をつける金融機関が増えています。

 

2015年末に始めたじぶん銀に続き、今年6月にはARUHI、8月にはソニー銀行が同タイプの保障を扱い始めました。

 

共通するのは「保険料」に当たる負担(住宅ローン金利への上乗せ)が非常に軽い点です。

 

じぶん銀、ソニー銀は上乗せ金利はゼロです。

 

ARUHIは0.05%の上乗せが必要ですが、この保障を付けられる主な対象ローンは通常のフラット35より0.05%以上金利が低い「保証型フラット35」なので、通常のフラット35と同水準の金利で保障を手厚くできます。

 

3大疾病、8大疾病などを保障する保険付き住宅ローンは一般的に、借入金利に0.3~0.4%上乗せして保険料を支払います。

 

3000万円を元の金利1%で借り入れ、0.3%の上乗せ保障を付けると、20年返済なら20年間で支払う保険料は約97万円になります。

 

がんと診断されたら残債がゼロになる「がん100%保障」も0.15~0.2%程度の上乗せがあります。

 

がん50%保障の保障対象はがんのみで他疾病は含みません。

 

保障条件は上皮内がんなどは除くが、がんと診断されるだけでよく、入院日数や就業不能状態などは含まれません。

 

50%に減らす残債の基準は診断確定時です。

 

例えば、がんと診断された後、治療や職場への説明などに追われ、住宅ローンの保障申請時期が遅れるうちに返済日が来て残債が減ってしまった場合も、残債の基準は診断確定時に遡って計算されます。

 



 

医療保険の併用も
 

残債がゼロにはならないですが、残債によっては保障額が数千万円に上る例も多いです。

 

通常のがん保険では数千万円単位の診断一時金をつけるのは通常、不可能なため、一定の優位性はありそうです。

 

もしがんと診断され、残債が50%になった後、病状が悪化して死亡してしまった場合は、万一の死亡時は通常と同様に残債はゼロになります。

 

じぶん銀やARUHIも同様です。

 

コストがゼロなので検討する人も増えそうだが、利用には注意点もあります。

 

まず、年齢制限があり、通常50歳を超えると利用できません。借り換える計画があるなら、40代のうちに検討したいですね。

 

保障範囲はがんに限定され、がん診断後も返済は続きます。

 

団信があるからと、それ以外への備えが手薄な人もいます。

 

がん以外の病気やケガに備える医療保険なども検討しましょう。

 

地震や豪雨などで被災した際に、住宅ローン返済を一部補償する特約を扱う銀行が広がっています。

 

借金が一部免除される安心感に加え、復旧時の生活資金に不安を感じる利用者の共感を得ています。

 

ただ免除期間や上乗せ金利など条件は各行で異なり、特性を把握する必要があります。

 

最大では24回分
 

地震津波、台風、雪災など自然災害の場合、毎月の約定返済額が最多24回分免除されます。

 

家屋が全壊すれば24回、大規模半壊なら12回分、半壊なら6回分です。

 

例えば元本と利息を合わせた毎月の返済額5万円のケースであれば、最大120万円の支払いが不要となります。

 

1億円以下の借り入れに付けることができます。

 

新生銀の特約は、住宅ローン金利に対する上乗せ金利が必要ありません。

 

電話するだけで最短6営業日で特約が実行されます。これで住宅ローンの引き落としが止まります。被災直後に1円でも返済を気にせずに済む設計としてます。

 

これまで特約に加入できるのは「新築の戸建て」の「物件購入時」に限っていた。9月からマンションや中古物件、借換時にも利用できるようにしました。

 

ただ契約時に5万4千円の事務手数料が必要で、補償期間は10年間に限ります。

 

 

 

上乗せ金利手数料の確認を
 

日本経済新聞の調べでは、自然災害特約を取り扱うのは全国10行ほどです。

 

新生銀や愛媛銀は上乗せ金利の代わりに手数料を徴収するが、他の銀行は金利0.035~0.3%を上乗せするタイプです。

 
 

一度の被災に対する補償期間も6~24回と様々です。家屋の被害も全壊と大規模半壊だけを補償対象としている銀行もあります。

 

特約は住宅ローンを借りる新契約者が対象だが、関西アーバン銀行は手数料を払えば既存の借り手も加入できます。

 

補償の仕組みは新生銀は免除型で、他行は全て返済した金額を後から払い戻す仕組みです。

 

払い戻し型は罹災証明書を提出すると、翌月分までの返済分を一括で受け取り、残りの期間は毎回、返済分を数日後に受け取れます。

 

新生銀や三井住友銀など先行組に加え、みずほ銀が2月、イオン銀、広島銀が7月から取り扱いを始めました。

 

三井住友は「住宅ローン利用者の約15%が特約に加入している」。関西アーバン銀も18年4~6月は前年同期比で加入者が6割増えました。

 

内閣府によると東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は平均で約2500万円でした。

 

一方で公的な生活再建支援金や義援金で被災者が受け取ったのは約400万円でした。

 

さらに家財や一時的な引っ越し費用など生活再建にはさらに多額のお金が必要となります。

 

地震への備えには保険会社の地震保険があります。ただし、補償限度額は「火災保険の契約金額の最大50%」です。

 

しかも、上限5千万円です。銀行が提供する災害特約地震保険だけでまかなえない生活再建資金に充ててもらうのが狙いです。

 

さらに手厚い補償も選択できます。三井住友とみずほはローン残高の50%相当を免除する特約も扱っています。

 

対象は地震、噴火、津波に限定され、上乗せ金利は0.3~0.5%と返済補償タイプより高くなります。

 

ただ建物部分の借り入れのみが対象となるため、土地も一緒に購入する場合はローンを2口に分ける手間がいる点などは留意が必要となります。

 

住宅金融支援機構の実態調査によると、56.5%の人が変動型の住宅ローンを選んでいるうえ増加傾向にあります。

 

また、当初5年間、10年間などと一定期間は固定金利で、それ以降は金利変動の影響を受ける固定期間選択型を選ぶ人と合わせると8割以上です。

 

ただ、このうち4~5割の人はローンの特性や金利上昇リスクへの理解度があまり高くはない結果も出ています。

 

 


変動型や固定期間選択型は、金利上昇時の返済額のチェックを
 

金利がいつ、どの程度上昇するかは専門家でも予想することは困難です。

 

一方、金融緩和を永続させられないのは誰の目にも明らかで、「しばらくは低金利が続いてもいつか金利は上昇する」という見解が一般的でしょう。

 

変動型や固定期間選択型を選ぶなら、金利上昇時にどの程度の返済額になるのかなどを事前に調べるべきです。

 

例えば変動金利0.9%、返済期間35年、借入額5000万円、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合、金利に変動がなければ毎月13万8825円の返済を420回行い、総支払額は約5830万円となります。

 

一方、例えば3年後から10年かけて0.2%ずつ金利が上昇、最終的に2.9%まで上昇したらどうでしょう?

 

変動型は返済額が5年間一定で、上昇する場合はそれまでの返済額の1.25倍が上限というルールがあります。

 

このため、金利が上昇しても返済額が変わらない期間は利払いが増え元本返済が減少。金利上昇が止まった時点から徐々に利払いが減少し、元本返済が進みます。

 

今回の想定だと、最終的に毎月の返済額は18万3580円まで上昇します。

 

当初返済額との差は4万4755円で、総支払額は約7200万円に達します。

 

仮に全期間固定金利1.4%で借りていれば、毎月の返済額は15万655円、総支払額は約6330万円にとどまります。

 

変動型は金利上昇が激しいと返済額より利払い額が大きくなるケースがあります。

 

元本返済は一切進まず、未払い利息が積みあがっていくという最悪の状態になる可能性もあります。

 

固定期間選択型は返済額が5年間一定で1.25倍を上限とするルールがないので、固定期間が終了すると返済額が大幅に上昇する可能性があります。

 

固定期間終了後に優遇金利の適用がなくなる商品が多い点も注意が必要です。

 

「変動金利が上昇したら、固定金利に借り換えればよい」という人がいますが、大きな間違いです。

 

変動金利が上昇し始めるということは、それより以前に固定金利が上昇しているのが一般的だからです。変動金利が上昇してしまってからでは遅いのです。

 

30年を超える返済が前提の住宅ローンで変動型や固定期間選択型を選ぶ際は、慎重に慎重を期すべきでしょう。

 

マイニングマシンの現状とこれから!

仮想通貨の「マイニング(採掘)」や人工知能(AI)解析などのために、高速に演算するコンピューター「超高速マシン」の需要が高まっています。

 

超高速マシン特需は、半導体の先端プロセス(回路線幅)開発を促し、高効率な放熱(熱拡散)技術の出番をもたらしそうです。

 

半導体メーカーでは、米シリコンバレーの企業よりも中国の新興企業が存在感を高めており、さまざまな分野で主役が代わり、業界地図が塗り替わる可能性があります。

 

Contents [hide]

1 ■7ナノ半導体のけん引役に
2 ■中国新興企業、米エヌビディアを抜く
3 ■「省電力より演算性能」で熱に注目
4 ■「仮想通貨ブーム」終わる?
5 ■仮想通貨以外に応用広がる
6 富・価値を創造する超高速マシン
7 ■採掘後の市場に商機
8 超高速マシンはブロックチェーンのインフラに
■7ナノ半導体のけん引役に
 

最先端プロセスの半導体を使った超高速マシンが引く手あまたになっています。

 

あらゆるモノがネットにつながるIoTのデータやさまざまな取引のデータから研究開発・経営に価値をもたらすデータを生みだすビッグデータ解析と、ビットコインなど仮想通貨のマイニングが、新たなけん引役です。

 

仮想通貨マイニングでは、決済の正当性の検証で報酬が得られることから、投資家がもうけを生み出すツールとして、2年前後の周期で最先端の超高速マシンを続々と買い増すケースが多いです。


 

このためマイニング用の集積回路(ASIC)は、16nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)世代のプロセス(16nmプロセス)の製造ラインの需要をひっ迫させる主因となっているほどです。

 

2017年末に量産が始まった7nmプロセスの量産でもマイニング用ASICが、需要の大半を占めるとの見方があります。

 

実際、7nmプロセスでは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術応用のベンチャー企業であるTRIPLE-1(トリプルワン、福岡市)が自社設計のデータ演算用ASICの生産を18年8月に開始し、これを搭載したマシンの出荷も始めます。

 

国内のGMOインターネットは、やはり自社設計の7nmプロセスのASICの量産を18年10月までに始め、このASICを搭載したマシンを出荷します。

 

■中国新興企業、米エヌビディアを抜く
 

超高速マシンの増殖は、エレクトロニクスなどのハイテク分野の業界地図を塗り替える可能性があります。既に同マシンの開発と投資において主役交代の気配が見て取れます。

 

ここ数年、半導体先端プロセスの製造ラインを真っ先に埋めてきたのは、スマートフォン向けでした。それが今や超高速マシン向けに変わろうとしています。

 

回路パターンを露光するマスクの開発に数百億円かかる先端プロセスでは、1品種で出荷数が数百万個規模のスマートフォン向けでさえ、回収が見込めない恐れがあります。


 

しかも仮想通貨マイニング用ASIC市場を主導しているメーカーは、シリコンバレーに本社や研究施設を置いてハイテク業界の市場を創出してきた米国系企業ではありません。

 

市場を立ち上げ、伸ばしているのは、中国の新興企業ビットメインです。7nmプロセスのASICを開発したトリプルワンやGMOインターネットに先立つこと3~4年前から始動しています。

 

ビットメインは、13年の創業から急成長を遂げて17年に40億米ドル近い利益を上げたとされます。

 

40億米ドルという数字は、自動運転向けAIの演算チップを開発しシリコンバレー企業の中でも破竹の勢いを見せる米エヌビディアがほぼ同期間に稼いだ利益を上回ります。

 

仮想通貨マイニング用マシンで業界1位がビットメインなら、同2位の企業も中国企業です。香港に本社を置くカナン・クリエイティブです。

 

マイニング用マシンや半導体での中国新興企業の台頭は、米国産業界の危機感をあおり、中国との半導体貿易摩擦に火を注ぎかねないほどの脅威になっています。

 

 



 

■「省電力より演算性能」で熱に注目
 

マイニング用マシンの増殖は、半導体や機器の設計思想にも変化をもたらしつつあります。マイニング用マシンの設計では、演算性能が従来以上に重視された結果、チップの発熱を拡散する放熱技術に高い性能が求められるようになってきました。

 

仮想通貨マイニングでは、演算性能が収益に比例します。そこでASICの処理能力の高さが第1の競争軸となります。


 

ここ数年、電子機器設計に大きな影響を与えてきたスマートフォンにおける「演算性能と消費電力のバランスを取る」設計とは大きく異なります。

 

もっとも、マイニング用マシンでも消費電力の増大が電力コストの上昇につながる点に変わりないため、「消費電力当たりの演算性能」はマイニング用マシンの重要な指標ではあります。

 

しかし、極めて低廉な電力を使えて電力コストに敏感ではないユーザーが増えてきました。

 

家庭用の電力量単価が20円台/kWhであるのに対して、数円/kWhで契約している「マイナー(採掘者)」は珍しくなくなっています。

 

相次ぎ新設されている、グループで採掘する「マイニングプール」においては、数万台規模のマイニング用マシンを2~5円/kWhの電力で稼働させている例が多いです。

 

そこでGMOインターネットは、18年8月に発売した最新マシン「B3」で、消費電力よりも演算性能を重視するモードをユーザーが選択できる機能を新設しました。

 

電力量単価が2~3円/kWhのユーザーの要望に応えるためです。なお同社自身は、環境負荷への配慮から、北欧において水力発電地熱発電で発電した電力を4~5円/kWhと推定される単価で調達し、マイニングを実施しています。

 

このように消費電力より演算性能を重視するユーザーは、マイニング用マシンのクロック周波数と動作電圧を上げます。

 

電力効率は低下し、発する熱が増える。チップでの熱密度が高まるため、熱を素早く拡散する技術が求められるようになってきました。

 

注目を浴びるのが、熱の拡散効率が高い「相変化」技術です。チップが発する熱を液体冷媒の気化熱で奪います。

 

この技術の重要性にいち早く気づき動いたのは、仮想通貨マイニング用ハードウエアを手掛ける米ビットフューリーです。

 

相変化冷却技術に強みのある香港のベンチャー企業アライド・コントロールを15年に買収、マイニング用データセンターに適用中です。


 

仮想通貨やそのマイニング(採掘)は「ブーム」でしかないとの見方があります。ブームに終われば、マイニング用の高速に演算するコンピューター「超高速マシン」による技術や産業へのインパクトも一過性に終わってしまうのでしょうか。

 

■「仮想通貨ブーム」終わる?
 

以前にも、ビットコインの相場が低迷した2018年前半から、半導体受託製造(ファウンドリー)最大手のTSMCのマイニング用集積回路(ASIC)の需要は落ち込みました。

 

それまでは、スマートフォン向け半導体需要の落ち込みを補うほどの稼ぎ頭でした。このケースのように、仮想通貨の相場が大きく下落すれば、先端プロセスの半導体需要を落ち込ませることになります。

 

このほかの懸念材料として、ビットコインなど主力の仮想通貨は、採掘可能量(発行総額)があらかじめ決まっているという点があります。

 

決済の正当性の証明に対する報酬が徐々に減りいずれはほとんどなくなります。ビットコインでは、これまで発行額に応じて報酬が半減し、その半減周期は約4年でした。

 

これが続く限り、いずれ報酬は投資に見合わない額になる。マイニング用ハードウエア事業は、市場規模の縮小が確実なのです。

 

 

 

■仮想通貨以外に応用広がる
 

これに対し、ブロックチェーン(分散型台帳)による応用事例は増えるだろうとの見方は多いです。

 

例えばマイニング用ハードウエアを手掛ける米ビットフューリーは、ブロックチェーンを応用した不動産登記システムをジョージアグルジア)で稼働させました。

 

ウクライナでは政府文書を管理するプロジェクトも推進中です。応用が仮想通貨以外に広がれば、マイニング用マシンの需要喚起につながります。


 

さらにマイニング用マシンの処理フロー、すなわち「大量のデータを入力して高速演算し、価値あるデータを出力する」には、今後のデータ社会で普遍的な需要があります。

 

ビッグデータ機械学習によって学習させる、得られたエンジンにデータを続々と入力し推論させる──といったものです。

 

富・価値を創造する超高速マシン
 

例えば、株式など金融商品の売買に関する判断データを出力するフィンテック分野では、高速処理によって競合より一瞬でも早く判断データをユーザーに提示できれば、莫大な価値をもたらす可能性があります。

 

あらゆるモノがネットにつながるIoT分野でも、カメラなどセンサーデータを即時に解析し価値あるデータを生み出す用途が将来においても間違いなく見込めます。

 

実際、仮想通貨マイニング用マシンで業界1、2位の中国ビットメインや同カナン・クリエイティブがマイニング用ASICの次に開発するのは人工知能(AI)の推論エンジン向けASICです。

 

ASIC開発において、マイニング用回路とAI推論用回路に共通性は「全くない」(複数のマイニング用ASICの開発者)が、高速データ演算の設計経験を持つ技術者を生かすとみられます。

 

それによりビットメインが狙うのは、中国全土に敷設されつつある監視カメラ群が続々と取り込む大量の画像データを解析するAI用途です。

 
■採掘後の市場に商機
 

では仮想通貨の新規発行がなくなった後、マイニング用マシンは消滅するのでしょうか。この問いに1つの答えを出そうとしているのがTRIPLE-1(トリプルワン、福岡市)です。

 

データ演算用ASICの生産を手掛ける同社だが、マイニング用マシンの事業化が最終的な目的ではありません。

 

マイニング用マシンは、決済認証に伴う報酬を当てにする投資ツールとしては、報酬源の縮小とともに消え去ると考えるのが自然です。

 

しかし、仮想通貨や同様のデジタル資産(参加者間で共通の価値を共有できる仮想的な資産)に対する需要はなくならないと同社は見ます。


 

これらの取引は、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンの仕組みで認証され、認証は取引者が「手数料」を支払って成立する、というのが同社の見立てです。

 

マイニング用マシンは、いわば「認証インフラ」の構成要素に姿を変えて存在し続けることになります。

 

現在、既存の通貨において銀行が果たしている役割と同じであり、超高速マシンには高い信頼性が欠かせなくなります。

 

取引は、少額決済のマイクロペイメントにまで広がり、大量の取引を瞬時に認証する必要性から、インフラを担う超高速マシンには、ますます高い処理能力が求められます。

 

超高速マシンはブロックチェーンのインフラに
 

トリプルワンのマイニング用マシンは、同社が(同マシン向けに)世界で初めて製造したという7nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)プロセス(回路線幅)ASICで開発したものですが、これは技術力の高さをアピールして潜在顧客の信頼を獲得したいためです。

 

仮想通貨の採掘後を待たずとも潜在顧客は存在し、超高速マシンの出番があると同社は考えています。実物資産による交換をデジタル資産による交換に置き換える応用がいくつか存在していると見ているようです。

 

具体的な応用を同社は明らかにしていませんが、パチンコの出玉交換の仕組みは好例と言えます。

 

現在はパチンコで勝ったユーザーはパチンコ玉を現金ではなく商品に替え、それをパチンコ店外で現金に換えます。

 

これに対し、通貨とはみなされていない仮想通貨をパチンコ玉の代わりにします。パチンコ店は、ホールの一部にマイニング用マシンを並べて採掘し、それをユーザーに提供することもできるようになります。